西岡秀子国対委員長代理(衆議院議員/長崎1区)は28日、衆議院本会議において、石破総理大臣の施政方針演説に対する代表質問を行った。全文は以下の通り。
国民民主党・無所属クラブ 西岡秀子
ただいま議題となりました第217回国会における石破総理大臣 施政方針演説に対して会派を代表して質問致します。元日には能登半島地震から一年が経過し、17日には阪神淡路大震災から30年目を迎えました。能登半島においては9月にも豪雨災害にも見舞われ、深刻な被害をもたらしました。昨年は、全国各地においても自然災害が多発し、多くの尊い生命が失われました。あらためて犠牲となられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げますと共に被災された皆様にお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧復興に党派を越えて取り組んでまいります。
【手取りを増やす経済政策】
〇いわゆる103万円の壁の178万円への引き上げ
・先の総選挙で国民民主党は「手取りを増やす経済の実現」を訴え、多くの国民の皆様からご支援を頂き、議席を増やす事が出来ました。昨年は、大企業を中心に5%を超える高水準の賃上げが実現し、今まさに賃金デフレを脱却出来るかどうかの瀬戸際です。
・12月11日、「いわゆる103万円の壁は、178万円を目指して来年から引き上げる」事が自民・公明党との3党幹事長間で合意書が交わされました。しかし、自民・公明党からの提案は123万円で、到底受け入れられない数字であり、税制大綱には、政府案として、基礎控除・給与所得控除10万円ずつ合わせて20万円引き上げて、123万円とする事が明記されました。令和7年度税制改正の大綱を見ると20万円の引き上げによる減収は平年度ベースで6580億円となっていますが、大綱には、「この改正は基礎控除や給与所得控除の最低額が定額である事に対しての物価調整を行う事である事を踏まえて特別の財政措置を要しない」と記されています。一方で国民民主党が引き上げを主張すれば「新たな財源」が必要だという判断となる。これではご都合主義ではないでしょうか。果たしていくらまでの引き上げなら「新たな財源措置」が不要であるのか、総理に明快な答弁を求めます。
・今回の演説では「103万円の壁」の引き上げについて、全く言及がありませんでした。一方、150万円程度への更なる引き上げを政府・与党が検討しているとの報道があります。これは事実でしょうか。「178万円を目指す」との公党同士の「3党合意」は極めて重いものです。123万円以上の高い水準に引き上げる必要が当然あると考えますが、総理自身のお考えを明確にお示し下さい。
・政府・与党は、178万円まで引き上げると7兆円を超える減収となるといいますが、そもそも今年度当初予算の税収と来年度当初予算の税収を比べると、国・地方で12兆円の増収となっています。消費税率に換算して5%弱にあたる大幅な税収増です。納税者の立場からすると、1年間で12兆円もの税負担が増えることとなります。この増収は、明らかに税金の取りすぎです。だからこそ、国民民主党は、103万円の壁を178万円まで引き上げて、7兆円程度国民の税負担を軽くする事を提案しています。来年度も過去最高の税収となる事が見込まれ、今こそ、インフレ等で増えすぎた税負担を適正な水準に抑制し、物価高騰で苦しむ国民生活を守るべきであると考えますが、総理の基本的な認識を伺います。
・みずほリサーチ&テクノロジーズの調査によると2024年の家計負担の増加は年間9万円の増加と見込まれています。国民民主党が掲げる178万円の引き上げによる減税額(効果)と合致する数字です。123万円では、200万円から600万円の世帯で年間5000円から1万円程度の減税効果しかなく、物価高騰対策としても消費の活性化策にも極めて不十分です。総理は、演説で、最低賃金を2020年代に全国平均1500円まで引き上げる高い目標を掲げておられます。そうであれば、労働力確保の観点からも必要な施策であるはずです。総理の見解を伺います。
・総理はトラスショックのことを引き合いに、178万円の引き上げを牽制されていますが、トラスショック時、英国の財政赤字対GDP比率は約6.4%で、前年度の3.9%から2.5ポイント悪化していた状況でした。これに対し、日本における2025年度の国の財政赤字の対GDP比率は約2.7%で、前年度2024年度の4.5%から大きく改善しています。したがってトラスショック当時の英国と比較するのは、過度に不安を煽るもので不適切であると考えますが、総理の見解を伺います。
〇ガソリン減税
・国民民主党は、他党に先駆け、2021年の衆院選の公約として、いち早くトリガー条項凍結解除を訴え、50年以上据え置かれたままの暫定税率廃止、二重課税廃止を一貫して主張してきました。今回、3党の幹事長間で「ガソリンの暫定税率廃止」を合意した事は大きな前進です。ガソリン、軽油、灯油、重油を対象油種として、その高騰対策として政府は、2022年1月から石油元売りへの補助金の延長を繰り返してきました。昨年12月から価格抑制の補助金が縮小され、1月に入り、更に縮小され、今後、ガソリンの店頭価格が185円超えて高騰する事が予想されています。離島地域等においてはすでに200円をゆうに超えています。国民生活、特に地方の暮らしは車が必需品であり、家計の負担増に直結します。すみやかにガソリン価格の高騰対策の出口戦略としても実現すべきです。総理の看板政策である地方創生にも最も効果があるのではないでしょうか。総理のお考えを伺います。
【能登半島災害からの復旧復興の取組みについて】
・昨年閣議決定された総合経済対策及び補正予算に我が党が被災地の現場からお預かりした声を盛り込む事が出来ましたが、今なお元の生活に戻る事が出来ず多くの方々が苦難の中におられます。今後も現地の声をしっかりと受け止め、被災者の皆様に寄り添い、復旧復興に万全を期して頂く事を求めます。また、「被災者生活再建支援法改正案」を野党3党で共同提出していますが、現下の物価高騰を受けて、支援金を現行の最大300万円から600万円に倍増する事などが盛り込まれています。21年間、この金額が変わっていません。この改正法案を成立させるべきと考えますが、総理の見解を伺います。
・能登半島においても災害から守られた大切な生命が避難を続ける中で失われる「災害関連死」が「災害により亡くなられた方」を上回る事態となっています。調査によると70代以上が9割を占め、体調悪化の主な場所として避難所が多く、寒さや断水などライフラインの途絶による生活環境の悪化、避難場所を移動する事による負担等が指摘されています。過去の災害でも繰り返し課題とされ、今回の教訓も含めて、避難所等の環境整備は、待ったなしの課題です。避難所のスフィア基準に合致した質の向上の為に、予算措置も含めて、徹底した、政府の取り組みが必要です。衆院選後、自民・公明両党との3党協議の中で、全国の避難所となる公立小中学校体育館の空調設備の早期導入とランニングコスト支援を我が党からも要望し、補正予算等に盛り込まれました。昨年9月時点での設置率はわずか18.9%、年間平均の進捗率も3.4%に留まっており、令和17年度までに95%整備という現在の目標では対応が遅すぎます。児童生徒を熱中症のリスクから守る意味でも、設置の加速化が求められます。総理の見解を伺います。
・能登半島災害では交通網の寸断による集落の孤立や広範囲そして長期間にわたる断水等、ライフラインの復帰に長期間を有する等、半島という地形特有に起因する脆弱性が明確になりました。この教訓をどのように今後の防災対策に活かし改善していく方針であるのか、総理に伺います。また早急な被災者の救助や支援の為にも、過酷な状況の中での救助や被災地に入りインフラの復旧に当たる方々、応援の自治体職員、ボランティアなど、必要な支援に従事して頂く方々への支援体制の強化も重要です。今後の対策について総理に伺います。
【防災庁の設置について】
・先日、南海トラフ巨大地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の一部でも発生率が引き上げられ、首都直下型地震を含めて、万全の備えが必要です。令和8年度中の防災庁の設置によって、わが国の防災体制がどのように変わり、どのように強化されるのか、内閣府防災との役割、また地方創生2.0の中で「防災庁など政府機関の地方移転、国内最適立地を推進します」とされていますが、その全体像について総理に伺います。
【政治改革について】
・昨年、民主主義の土台である政治の信頼が大きく失墜しました。未だ、その原因究明もなされておらず、国民からの信頼が回復されていません。昨年、政策活動費の廃止、旧文通費の公開と残金返納、第三者機関の設置を含む政治改革関連3法案が成立し、企業・団体献金については、3月を目途に議論し成案を得る事となっており、議論を加速する必要があります。一方で、法律が成立したからといって、終わりではなく、これからがスタートです。今後、如何に法律を実効性のあるものにしていくのか、今国会での議論、取り組みを国民が注視しています。これまでも、度々政治とお金にまつわる事件が繰り返されてきた、その悪循環を断つ為にも、特に第三者機関の在り方が極めて重要です。これまでの政治行動で金権政治に厳しく対峙し、政治改革に取り組んでこられた総理として、先頭に立って取り組む責任があると考えますが、総理の決意を伺います。
【手取りを増やす為の賃上げ支援~適正な価格転嫁~】
・持続的な賃上げが中小小規模事業者・非正規で働く皆さんにも波及する為の環境づくりについては、商慣行の見直しと共に、適正な価格転嫁を徹底し、適正な価格設定をサプライチェーン全体に定着させる事が不可欠です。これまで、下請けGメンの増員や、一昨年「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が示されましたが、ガイドラインの遵守と周知の強化、不適切な取引の改善等の更なる対策強化が必要です。下請法の改正案を提出される方針ですが、執行強化も含めて、今後、価格転嫁の実効性をどのように高めていく方針であるのか、総理に伺います。
【人への投資】
・「人づくりこそ国づくり」。これまで国民民主党が政策の柱として掲げてきた理念です。しかし他国が教育費や科学技術に係る予算を倍増している一方で、わが国は横ばい、微増に留まっており、過去20年間人への投資を怠ってきた事が現在の教育現場が抱える課題や国際競争力が著しく低下してきた大きな要因と言えます。資源のないわが国にとって人が財産であり、未来に向けて、いま、人への投資を倍増していかなくては、わが国の未来を描く事は出来ません。一方で現状、硬直した予算の中での付け替えでは、必要な予算を確保する事は困難です。国民民主党は、借金の先送りではなく、教育や人づくりに対する支出は、将来の成長や税収増につながる投資的経費と捉え、財政法を改正し、これらの支出を公債発行対象経費とする「教育国債」創設を提案し続けています。総理ご自身の見解を伺います。
・幼児教育・保育の無償化、高校の無償化等、いずれも所得制限が付されています。わが党は、従来から子どもに係る給付金、政策に対して所得制限撤廃する事を訴えてきました。児童手当の所得制限撤廃と高校生までの拡充が実現した事は大きな一歩です。一方で、年少扶養控除の復活については、今回も税制改正に盛り込まれませんでした。人口減少、少子高齢化の急速な進展のもとで、子どもに対する支援を強化し、子どもを社会全体で育む方向性を明確に示すべきです。ひとり親世帯の児童扶養手当の所得制限も物価高騰が長期化する中で、より深刻な課題となっています。総理の見解を伺います。
・高校までの授業料完全無償化を進めると共に、公立小中学校の給食費無償化を国が進めるべきです。野党3党で法案も提出しています。給食は子ども達の健やかな成長に極めて重要な役割を果たしており、近年は子どもの貧困問題が深刻となり、給食が唯一栄養を摂取する貴重な機会となっている児童生徒が増加している事や自治体間競争、自治体間格差が生じている事は問題です。演説の中で重点支援地方交付金の迅速な執行がうたわれていますが、住んでいる場所にかかわらず、子ども達が安心して給食が食べられる環境整備、併せてみどり食料システム戦略のオーガニック事業の中で、有機食材を使った給食、食育への支援が位置付けられており、無償化の制度設計の中で地産地消、有機食材の活用も盛り込んで進めるべきです。総理の見解を伺います。
【教員を取り巻く環境整備について】
・危機的な状況にある教員を取り巻く状況を改善すべく、教職調整額の率を令和12年度までに段階的に10%への引上げを行う様、給特法を改正、学校における働き方改革を強力に進め、本来業務以外の時間の抜本的削減、中学校の35人学級推進、教職員定数の改善、平均時間外在校時間を月20時間短縮する事等、6項目が合意されました。残業代の代わりに教職調整額が上乗せされたとしても、働き方改革を確実に進めていかなければ、いま教育現場が抱える課題を解決する事は出来ません。教員のウェルビーイングの観点からのアプローチも必要です。同時に教職員定数の改善を着実に進める事が重要で、教員が本来業務に専念できる環境をつくっていかなければ、教員のなり手不足は改善しません。専門人材の確保、育成も急務です。教員を取り巻く環境整備は、まさに次世代を担う子ども達の成長に直結する極めて重要な課題です。今後、どのように進めていかれるのか、総理の見解を伺います。
【介護職の更なる待遇改善と訪問介護について】
・公定価格が給料決定に影響する介護職、看護職、保育職の方々に他産業と比べて遜色のない賃上げが行われる事が急務です。保育士、幼稚園教諭の方々の給与については昨年取りまとめられた総合経済対策に10.7%引き上げられる改善策が盛り込まれましたが一層の改善が求められます。一方、人手不足が深刻で、極めて厳しい現実と向き合っている介護等の現場からは切実な声があがっています。介護職の方々に対しても、次期改定を待つ事なく報酬を引き上げる事が急務です。東京商工リサーチの調査によると、昨年の介護事業者の倒産、休廃業、解散が172件と過去最多となり、中でも休廃業は訪問介護事業所が7割を占めています。基本報酬額のマイナス改定や人材不足がその要因となっています。移動時間が多いという業務の特殊性や小規模事業者や地方の過疎地域の事業者の厳しい状況に対して、きめ細やかな支援が必要な事は明らかです。基礎報酬引き下げの撤回も含めて、報酬体系の見直しを早急に取り組むべきです。総理のご見解を伺います。
【農林水産業政策】
・食料・農業・農村基本法が改正され、食料安全保障の概念が盛り込まれました。食料自給率の低下、国際的な食糧供給の不安定化、農地及び担い手の減少、価格形成の課題等、農業を取り巻く困難な課題が山積しています。燃料油の高騰、生産資材、肥料等の高騰が長期化する一方で、価格転嫁が進まない現状は深刻です。国民民主党は、儲かる農業への転換を図る為に、農業の多面的な役割に着目し、営農継続が可能となる、農業全般が対象の直接支払い制度「食料安全保障基礎支払い」の創設を提案しています。また水田活用直接支払交付金の「5年に一度の水張り」要件については離農と耕作放棄地が増える原因となる為、地域の事情に応じて柔軟に緩和すべきです。総理のご見解を伺います。また持続的な水産業の発展は、海洋国日本の安全保障上も極めて重要です。漁業者の収益性の向上、競争力強化、漁業施設の整備、養殖業の支援強化等の取組みが急務です。総理の見解を伺います。
【持続的な地域公共交通】
・少子高齢化、人口減少が進展する中で、人手不足が深刻化し、地域公共交通が大変厳しい環境に置かれています。ガソリン等の燃料油価格高騰の長期化も深刻な影響を及ぼしています。一昨年、施行された「改正地域交通法」においては自治体、公共交通事業者、地域の多様な主体等、多様な関係者の共生による地域のリ・デザインの取り組みが盛り込まれました。地域の住民の移動をどのように守っていくかチーム公共交通としての総合的な取り組みが重要です。また観光業振興、インバウンドの推進、二拠点居住の推進においても地域公共交通の果たす役割は重要です。これまでの事業者や自治体任せから、国がしっかりと支援していくべきです。採算だけで地域公共交通は語る事が出来ない重要なインフラと言えます。
・また災害が頻発化、激甚化する中で、鉄道事業については、大規模災害時の復旧については、公共性の高さを鑑み、道路・河川等の公共土木施設等と同等の支援が必要であると考えますが、総理のご見解を伺います。
【就職氷河期世代への支援強化】
・連日、大手企業の初任給が30万円以上に引き上げられる事が報道される中で、氷河期世代の皆さんから悲鳴に似た声があがっています。氷河期世代の就職率は2003年に過去最低の55.1%、1700万人が厳しい雇用環境の中で、たまたま就職の時期を迎えた為に、現在も多くの皆さんが安定した職に就く事が出来なかった世代です。自己責任では到底論じてはならず、国がしっかり現状を踏まえて対策を強化していく必要があります。国民民主党は昨年党内にプロジェクトチームを作り、提言をまとめました。実態調査とこれまでの政府施策の検証、厚生年金の過去遡及給付と最低保障年金制度の構築、公務員採用拡大、求職者ベーシックインカムの導入、親介護問題に直面する世代となっている現状を踏まえてビジネスケアラー支援策の充実等を盛り込みました。この問題に対して総理は本気で取り組む意志をお持ちでしょうか、今後の方針を伺います。
【デジタル民主主義】
・デジタル民主主義について伺います。台湾には、60日で5000人以上の賛同が得られたものについては、政府は2カ月以内に検討し、書面によって回答する事が義務付けられている「Join(ジョイン)」という政策提言プラットフォームがあります。国民民主党は、これまでもSNS上で寄せられた多くの国民の皆さんの声を政策に反映し、活動に活かしてきましたが、1月16日、これら台湾の仕組みを参考に、AI等、デジタル技術を活用して、党に寄せられた意見を可視化し、24日に公表しました。総理、AI・デジタル技術をフル活用し、国民の声を速やかに集約して政策に生かす、新たな「デジタル民主主義」の可能性について、総理のご所見を伺います。
【地方創生2.0】
・総理が施政方針演説の中で、一番多く時間を割かれたテーマが「地方創生2.0」です。石破政権の最も重要な柱であり、「令和の日本列島改造」を進めていくとされています。これまで、歴代政権も様々なスローガンを掲げて地方創生に取り組んでこられましたが、残念ながら、これまで十分な成果が出ているとは言い難い状況です。コロナ禍で地方回帰の流れが出て来たものの、再び、東京一極集中が進展しています。総理自身も初代の地方創生大臣として取り組んでこられましたが、これまでの政府の取組みをどのように評価・検証されているのでしょうか、総理が取り組まれる地方創生は、これまでの施策と何が違うのでしょうか、「令和の日本列島改造」のその核となる施策は何であるのか、総理に伺います。
【総合安全保障について】
・新型コロナの世界的な流行によりデジタル化の遅れ、サプライチェーンの過度な他国依存、ワクチンが自国でつくれない等、わが国の脆弱性が明確になりました。それを踏まえて、経済安全保障推進法が成立しましたが、一方で、エネルギー自給率はわずか10%、食料自給率は40%に満たない現状では、新たなパンデミックや大規模な自然災害の頻発化、国際社会における紛争激化や極端な自国第一主義の国家観が台頭する中で、様々なリスクに対応する事は出来ません。経済も含め、食料、エネルギー、医薬品、医療機器、人材、人権、文化など、幅広い広義の総合安全保障の重要性を国民民主党はこれまでも訴え、法案を提出してきました。総合安全保障の視点に立って、国家戦略を明確に立案し、取り組みを進める事が急務であると考えますが、総理の見解を伺います。
【外国人の土地取得規制の強化】
・わが国における土地等の取得利用・管理をめぐる最近の状況を踏まえて、わが国の安全保障に支障を及ぼす恐れのある土地取得・利用・管理の規制に関する施策について、総合的に推進していく事が必要です。令和3年に「重要土地等調査法」が成立しましたが、安全保障上重要な施設の周辺等に限られており、更なる法整備が必要です。国民民主党は、土地だけではなく建物、水源地等の国と保全分野にかかる土地等の規制、国の責務、事前届け出に基づく取引の事前審査等の立ち入り調査権限の付与等を内容とする「外国人土地取得規制法案」を共同提出しています。早急な対応が必要であると考えますが石破総理の見解を伺います。
【能動的サイバー防御】
・施政方針演説で能動的サイバー防御を可能とする法案を提出する方針を明言されました。国民民主党はすでに法律案を提出し、議論を先導してきました。近年、国内外において国家の関与が疑われるサイバー攻撃、その脅威が深刻となっています。重要インフラに対するサイバー攻撃によって国家を揺るがす懸念が増大しています。いま、まさにサイバー安全保障を確保する為の能動的サイバー防御等に係る態勢の整備を総合的に推進する為の法整備が必要です。今国会で十分な議論を行い、法整備を急ぐ必要があると考えますが、総理の見解を伺います。
【日米関係】
・第2期トランプ政権がスタートしました。トランプ大統領との日米首脳会談開催の見通しと今後、信頼関係をいかに築いていくのかを伺います。また、トランプ政権の訴える関税引き上げや米国第一主義の結果、インフレ再燃により日米の金利差が再び開き、円安になる可能性があります。つまりアメリカのインフレが我が国に「輸出」され、さらなる物価高になりかねません。この対策は「手取りを増やす」ことで国民生活を支えるしかないと国民民主党は考えますが、総理のお考えを伺います。
【北朝鮮による拉致問題の解決】
・全ての拉致被害者の即時一括帰国は、わが国にとって最重要課題です。ご家族そして拉致被害者ご本人もご高齢となる中で、一刻の猶予もありません。これまで総理の発言からは、この問題を何としても解決するという不退転の決意が伝わってきません。初めての米朝首脳会談に臨んだトランプ大統領の再任を踏まえて、拉致問題に対する米国との連携強化を図り、総理がリーダーシップを持って取り組む事が極めて重要です。総理の決意を伺います。
【薬価中間改定の廃止】
・4年間にわたり、適時適切に国民や患者が医薬品にアクセス出来ない状況が続いています。日常的な薬から手術等で使う薬剤、慢性疾患の治療薬まで多岐にわたり、国民の生命が脅かされています。医薬品の供給不足を解消する為に、診療報酬改定がない年の薬価改定、いわゆる中間年薬価改定を廃止し、薬価制度の見直しに取り組む必要性について、すでに国民民主党から石破総理に申し入れをしています。総理のご見解と今後の取り組みについて伺います。
【核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加について】
・昨年、日本被団協の皆様がノーベル平和賞受賞されました。被爆という筆舌に尽くしがたい被害を受けながらも、国内外に自らの体験を語り、被爆の実相、核兵器の非人道性、核兵器廃絶を訴え続けて来られた長年のご活動にただただ賛意と敬意を表します。長崎で被爆された92歳の田中熙巳様は、オスロの授賞式で素晴らしいスピーチをされ、「核兵器と人類を共存させてはならない」「核のタブーが崩壊しつつある現状へ自らの経験に基づいた警鐘と共にこれまでの運動を未来に継承してほしい」との強い思いを発信されました。
・ちょうど4年前、被爆者の思いが国際社会を動かし発効したのが核兵器禁止条約です。政府は一貫して、米国の核の傘のもとにある事や条約に核兵器国が参加していない事から、署名・批准、締約国会議へのオブザーバー参加にも慎重な立場をとり続けてきました。しかし被爆から80年の大きな節目の今年、被団協のノーベル平和賞受賞を契機として、3月に行われる第3回締約国会議へオブザーバー参加した上で唯一の戦争被爆国として被爆の実相を伝え、核兵器の使用は人道上絶対に許されないというメッセージを国際社会に発信し、日本にしかできない貢献をすべきです。多くの関係者からの要請にもかかわらず、26日には、「政府は締約国会議のオブザーバー参加を見送り、締約国会議に自民・公明党の議員を派遣する方向で調整に入った」との極めて残念な報道がありました。総理、オブザーバー参加は見送られるのでしょうか。この報道の事実関係について明確にお答え下さい。
・旧長崎市の行政区域を基本に作られた国の援護区域外で被爆した為に、いまなお被爆者と認められない、被爆体験者の救済について、被爆体験者が求めていることは「被爆者として認めてほしい」この一点に尽きます。広島の黒い雨訴訟の上告断念により、政府が示した新しい被爆者認定基準が、同じ被爆地長崎に適応されないのは問題です。総理に政治決断を求めたいと考えますが、総理の見解を伺います。
国民民主党は、今後も2020年9月に衆参15名で立ちあげた結党の理念、政策をぶれる事なく、新しく議席をお預かりした仲間、地方議員の仲間と共に、今後も地道に真摯に国民の皆様の声をお聞きしながら、「まじめに働けば給料があがる」そんな当たり前の社会実現の為に、皆様とお約束した公約実現に邁進してまいる決意を申し上げ、質問を終わります。ご清聴頂き、ありがとうございました。
答弁者:すべて石破茂内閣総理大臣に質問致します。
参照:【衆本会議】西岡秀子議員が石破総理の施政方針演説に対する代表質問で登壇 | 新・国民民主党 – つくろう、新しい答え。