救急医療体制について
質 問
新型コロナ感染症が拡大し3年を経過したが、救急出動件数や搬送時間、救急搬送困難事案の件数など、救急医療現場の実態は?
回 答
県内の救急出動件数は平成30年の68,723件をピークに、令和2年は63,057件と減少し、令和3年は65,561件と増加に転じた。医療機関収容までの平均時間は、令和元年が39.6分、令和2年が40.9分である。救急搬送困難事案(救急隊による医療機関への受入れ照会回数4回以上かつ現場滞在時間30分以上)の件数は、長崎市消防局管内で令和元年が249件、令和2年が189件、令和3年が348件である。
質 問
令和2年の搬送時間は平均40.9分だが、平成20年当時は33.2分であった。搬送時間が長くなっている要因は?
回 答
医療機関収容までの時間は全国的に年々延びている。消防庁の平成30年度の報告書によると、救急要請増加による救急隊の不在、傷病者からのニーズの多様化による医療機関選定に伴う連絡回数や時間の増加、現場活動時間の延伸、高齢者独居世帯等における情報収集の増加などが要因として挙げられる。さらに、近年では感染症拡大の影響で救急隊の感染防護対策や救急搬送困難事案の増加により延伸している。
質 問
搬送時間や出動要請数の縮減を目的に、#7119の導入を総務省が推奨し、全国では人口カバー率47.5%を達成している。本県がこの事業にこれまで参画できなかった、導入が進まなかった理由や課題は?
回 答
県内の搬送件数が平成30年から令和2年にかけ減少したことにより、事業の費用対効果が小さいことや救急車が適正利用されていることから進展しなかった。その後、令和3年に国の地方財政措置の見直しや感染症対策への効果も期待され、現在、検討を進めている。課題としては、相談窓口の運営方法や運営主体、費用負担などについて関係部局や市町、医療関係者との協議が必要である。
要 望
一分一秒を争う救急現場の話であり、県民の命に関わる問題でもある。導入に向けた前向きな検討をお願いしたい。
質 問
「あじさいネット」は、基幹病院での患者の診察情報等を地域のかかりつけ医が閲覧できるシステムであるが、救急医療の現場においても「あじさいネット」やICTを活用した医療が必要と考えるが?
回 答
県全域で活用されている「あじさいネット」は、基幹病院での入院治療後、患者がその後も安心して療養できるためのシステムである。しかし、かかりつけ医が持つ患者情報の共有は行っておらず、救急搬送時に「あじさいネット」による情報を共有するためには、機能の拡充やかかりつけ医側の電子カルテ導入も必要となる。救急医療における医療ICT活用は診断や治療の質向上に有効と考え、現在、マイナンバーカードと保険証の一元化の動き等を注視している。
質 問
情報提供側の医療機関は38施設、情報閲覧側の病院は366施設、計404施設が参画しているが、これは県内の全医療機関の27%しかなく、双方向の情報が共有できていない点は課題である。例えば、香川県では治療に活かすレセプト診療システムK―MIXRというシステムを構築している。本県としても、先進的な取組が必要と考えるが?
回 答
地域医療のICT活用については、マイナンバーカードを活用した患者診察情報の確認に関する取組や消防庁の実証実験を踏まえ、効果的な方法を検討する必要がある。また、「あじさいネット」においては、救急医療を担う県内全ての基幹病院が加入し、情報閲覧側の病院もより多く加入することが重要と考えており、運営主体である県医師会とも連携し、システムの普及に取り組んでいきたい。
要 望
福祉保健部だけの話ではなく、危機管理監も参画する形で本県医療の質の向上につなげてもらいたい。